2011年03月25日

インスト芸

 ゲームスペース柏木の席主に言わせると、自分は「インスト芸人」なんだそうである。あんまり意図してやってるつもりは無いんだけど、まあ流れでそうなることが多いかも。否定はしない。そういえばいつぞやのエッセンで遊宝洞さんのゲームを延々英語でインストしたこともあったっけな。事前にきちんとシナリオ作って。さすがに英語だとその場でってわけにはなかなかいかないので。

 でまあ、試しに自分がインストをやる時の基本的手順なんてのを書いてみようかと思う。別にこれがベストなんて言うつもりはないけど、各自のやり方と比較して、何かの参考になったらってことで。

 ゲームのルールの解説は、基本的には「ゲーム背景」→「勝利条件」→「パーツ解説」→「ゲーム進行」の順になる。この順を崩すことはほとんど無い。背景がわからないとゲームに入り込めないし、勝利条件がわからないとパーツの情報の意味がわからないから、ここを真っ先に解説しないと意味が無い。世間のゲームのルールブックにはよく、勝利条件を一番最後に持ってきてるのがあるけど、自分はあれの意図がわからない。勝利条件が不明のままゲーム解説しても意味が無いと思うのだが。

 背景は基本単純に。「宇宙帝国の偉い人になってすごい帝国を作って自慢するゲーム」(RftG)とか「絨毯の仲買人になって珍しい絨毯を見つけて金を稼ぐゲーム」(絨毯商人)とか。ゲームに原作がある場合、必要に応じてここで長めの時間を割くこともある。「Battlestar Galactica」なんかが典型で、このゲームの場合はゲーム開始段階までのストーリーをざっくりと解説する。これをやるとやらないではゲームのノリが全然違う。

 勝利条件、パーツ解説、ゲーム進行はルールに従って粛々と。ただしここで重要なのが、とにかくゲームをできるだけ早くスタートさせること。ぶっちゃけ、インストは聴いてる方には退屈きわまりなくて、それが延々と続くとやるきまで失せてくるもの。ルール内容なんか5割でいいからできるだけ早くコマに触らせてゲームを始めてしまう。ゲーム中に発生する特殊な状況(部隊のぶつかる戦闘とか、一部のカードにのみ登場する特殊キーワードとか)は省いて、ゲーム進行をゲームをやりながら説明する。

 一例。最近だとMansions of Madnessが適例かと。まあこれはホラーRPG風味ボードゲームって点もあるんだけど、自分がキーパー(マスター)を担当するとして、プレイヤーに最初説明するのはボードの見方と能力値テストのやりかたとターンにできることだけ。あとは勝手にやらせちゃう。パズルの解き方も戦闘の仕方もキーパーの処理も教えない。遊ぶのに当面必要ないので。必要な時点が発生したらざくっと教える。それで十分。

 端的に言えば、1回目のゲームはインストゲームと思って捨てゲームにしちゃう感じでOK。プレイヤーが納得するのであれば、最初の2ターンぐらいで中断しちゃって頭からやりなおすのも全然あり(特にミスって大差が付いちゃったゲームとか)。

 そしてもう一つ。インストをする担当がゲームに参加する場合、できるだけプレイングを悪役に徹する。これは初心者をけちょんけちょんにしろってことじゃなくて、「他人に嫌がらせをする強くない戦略」を取ること。例えばドミニオン。自分がインストする場合、まあ初期ゲーム推薦サプライで始めることになるんだけど、とにかく民兵を取りまくる。ぶっちゃけ勝てないんだが、インストされた側からすれば、戦略がわからないままゲームを始めて、相手の嫌がらせを受けながら勝つことでカタルシスが得られるわけで。そうしてゲームを面白いと思ってもらうことが重要。

 また、相手をゲームに参加させていかに持ち上げるかも重要。そのため、大原則として求められないかぎり定跡や作戦を教えない。これをやっちゃう人が多々いるんだけど、そうすると初心者は自分がゲームをやってる気分になれず、ただ単にゲームを追っかけて観戦してる気分になっちゃう。面白くは無い。また、上記の悪役云々にも関係してくるんだけど、インスト担当は相手を攻める時はさも嫌らしく攻め、相手に攻め落とされる時はひたすら相手をほめて悔しがる。相手のミスプレイを突くのはまあかまわないけど、その時も「それがミスだ」とか言わない。初心者はミスって当然なんで、そこを突かれれば良い気分にはならない。代わりにどうするかというと、自分なりの最善を打った後で、「ここをこうすれば良かったのに、もったいなかったね」と言ってあげる。この台詞には「そちらにも勝ち筋があった」ことを肯定的に示すので、相手の不満が立ちにくくなる。細かい言葉の選択って案外重要。

 まとめ。インストゲームは、できるだけ早く、できるだけ気分良くプレイさせてあげるのが重要。そうして自分好みのゲームにハメれば、今後はありがたい対戦相手となってくれることでありましょうや。
posted by 進藤「みらこー」欣也 at 08:07| Comment(7) | 日記
この記事へのコメント
 はじめまして、いつも楽しく見てます。

 今回のインストに関してとても参考になりました。特に、「他人に嫌がらせをする強くない戦略」は、まさにその通りだと思いました。

 以前、ドミニオンがはじめての人とやるときに、ぶっちぎりで勝ったため、場が興醒めしたことがあり、とても反省したことがあったので、ここで書かれているように「民兵取りまくり」をすればよかったのだと、今頃わかりました。これからの参考にします。

 これからも楽しみにしています。
Posted by オホーツクのウゴー at 2011年03月26日 09:45
 いらっしゃいませ。こんな駄文置き場にようこそです。

 初心者に対してインストプレイヤーが本気出せば勝つのが(それも圧倒的に勝つのが)当たり前なので、インストゲームはそこを手加減するのが優しさなのです。でもあからさまに手抜きをすると案外バレる物なので、さじ加減が難しいところ。結果としての回避方法が「変でまっすぐで弱い戦略」だったりします。そこに適度の嫌がらせが入れば完璧。

 初心者には、苦しみつつながらも勝利への道を見つける楽しみを味わってもらうのがベストなのです :)
Posted by 家主みらこー at 2011年03月26日 12:47
こんにちは。いつも楽しく拝見しております。
私はごく地方レベルですが「金のとれるインスト」と呼ばれています。ゲーム会も出ますが、ゆうもあやってる関係上、慣れない人にインストする機会も多いため、とにかく物理的に短くまとめて説明を終えることに普段から腐心しているので、お話大変参考になります。この辺のはやや環境が違うのですが「次がない」人にインストする機会があるので「捨てゲーム」ができる環境は素直にうらやましいです。私は背水の陣もけっこう多いので。

あと私は説明順序を固定することはほとんどありません。これは別にルールブック順を墨守するわけではなく、このゲームは勝利条件を最後にもってきた方が話(インスト)が盛り上がるよね。という感覚によるものです。おっしゃるようにインストを聞いている時間は退屈なものであると考えるので、できるだけ短くしかも「おもしろく」というのに重点を置いているからです。
とにかく聞いてくれないと話にならないですから。(^^;)

ルールブックの書き順ですが、あれは書く方にとっては都合がよいのであのシーケンス順になっていると考えています。従って、説明するときにはその順に従う必要は全くないので、面白く説明するために適切な順序に変えています。

ノンリプレイ派の人がルールブック読みながらの初プレイがベストといっているのが、私には信じがたいことですが、二度やらない人はそれでもよいのでしょう。(^o^)
Posted by TTB at 2011年03月29日 11:27
インストについて大変参考になりました。これからのボドゲ会などで役立てていきたいと思います。
以前ドミニオンで「接待プレイはよくない」 と言われたことがありまして 初心者に対してどうプレイしようかと悩んでました。 本気でいくと経験差で勝負にならないですから。これからドミニオンでインストするときは民兵使ってみようと思います。 
Posted by アブラハム at 2011年03月29日 16:12
 いらっしゃいませ。

>TTBさん
 大御所のインスト話は参考になりますです。インストを「おもしろく」というのは自分も気を使っている部分なので、よくインスト中に小ネタを混ぜたりします(だから“芸人”と呼ばれるんですが :( )。

 ノンリプ派云々はまったく賛成。というか、彼らはゲームを“自分のゲーム理解度”を試す道具にしてるんじゃ無いかって気もしています。

>アブラハムさん
 ガチ派のゲーマーしかいないなら、最初っから全力プレイも全然ありだと思いますよ。そうでない、とにかくゲームで楽しみたいって人がいて、その人にそのゲームを楽しんで欲しいんなら、接待プレイも許されると思うのです。ただし、あくまでさりげなく。「俺は接待プレイをしてるんだ!」って顔に書いてあったら、そりゃ相手もいい顔はしませんわな :)
Posted by 家主みらこー at 2011年03月30日 11:18
短いゲームであれば、一戦だけ自分はプレイしないという道もあります。つまり審判役になるのです。

あと一ラウンドだけ、通しを入れる手もあります。
つまり通しを通じて、ルールを説明して行くのです。一ラウンドが終わったら、「以上のような流れになり、これを9ラウンド繰り替えして、点数の高い人が勝ちです。」と締めます。
Posted by BRAGI at 2011年03月30日 13:46
 いらっしゃいませ。

 自分はプレイしないというのは、自分の場合結構あったりします。5人ゲームで呼び込みかけたら5人来ちゃったとか普通にあるので。まあ見てるのもそれはそれで楽しいのでいいんですけどね。

 あと通しは、まあ余裕のある時に。こないだホワイトチャペルでやったかな。あれはインストとしては最強なんですが、いかんせん時間がかかりすぎるのが難点で :|
Posted by 家主みらこー at 2011年03月31日 00:53
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